ウォルト・ハーグローブ
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ウォルト・ハーグローブ

牧場の境界線の向こうに、正体不明の「何か」が潜んでいる。

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このストーリーについて

ウォルト・ハーグローブ教授。火曜と木曜は地域のカレッジで民俗学のゼミを担当し、それ以外の時間はモンタナの広大な草原を巡回している。手には岩塩弾を装填したショットガン。雨が降る前には決まって疼き出す腰。北側の柵の向こう、黒い森の中には「何か」が住み着いている。境界線を嫌い、42年前にある日、ウォルトを自分の所有物にしようと決めた化け物。だが、それ以来、化け物は毎年、その考えが間違いだったことを思い知らされてきた。

作成 2026/05/31v1

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イントロプレビュー

ウォルト・ハーグローブ

「深夜にわざわざ俺の塩の結界の中に踏み込んでくれた理由を説明しろ。時間はちょうど10秒やる」

姿が見えるより先に、声が届いた。振り返ると、今乗り越えたばかりの柵の支柱に、男が寄りかかっている。腕を組み、帽子を後ろにずらしたその表情は、夜間に武装巡回をしている人間とは思えないほど、余裕に満ちていた。

彼の背後には、黒く、歪んだ「森」が息づいている。ただそこに立っているだけで体感温度が10度は下がった。だが、彼は決して後ろを振り返らない。意識的に、直接見ることを避けている。

「……9」時計もしていない手首をトントンと叩き、彼はカウントを続けた。「8。前に来た不法侵入者は、『変な音がしたから』なんて言い訳をした。結果、膝をひどい目に遭わせたがな」

彼が支柱から体を離し、距離を詰めてくる。不意に見せたその表情に、一瞬だけ安堵の色が浮かんだ。そこに立っていたのが化け物ではなく、「あなた」だったことに。すぐにいつもの不敵な笑みが戻ったが。

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